こんにちは、FL.OPSの中の人、山本です。
今回は、Azure Site Recovery (以下、ASR) を検証してみます。
ASRとは、Hyper-V上で稼働している仮想サーバを丸ごと Microsoft Azure または、別のHyper-V 上へバックアップし、更にHyper-Vに障害が発生した場合、バックアップ先の環境でサーバを起動し業務を継続することができる強力な機能です。
今までASRを使うには別途「System Center VMM」と言う製品が必要でしたが、昨年12月にバックアップ先をAzureにする場合は不要になりました。
と言うわけで、簡単に利用できるようになったASRを試してみます。
環境
オンプレミス
ホストサーバ:Hyper-Vサーバ (Windows Server 2012R2)
ゲストサーバ:Webサーバ (Windows Server 2012R2+WordPress)
クラウド
Microsoft Azure
構築
ASRの構築は画面に従って進むと簡単に構築できますので、最初だけ紹介します。
1.Microsoft Azureの管理コンソールから[新規]-[復旧サービス]-[SITE RECOVERY コンテナー]-[簡易作成]から復旧サービスを作成します。
2.作成した復旧サービスを開くと以下の画面が表示されるため、「オンプレミスHyper-VサイトとAzureの間」を選択します。
ASR構築の手順が表示されるため、順番に実施していくと構築ができます。
※ 手順5の仮想マシンの保護で、Hyper-V上の仮想マシンを保護グループに追加するのですが、以下の画面が表示されて仮想マシンが追加できない状態になりました。
Hyper-V上の仮想サーバを再起動するとAzureから仮想サーバ認識することができました。
どうやらASRプロバイダーインストール後に仮想サーバの再起動が必要なようです。
構築がうまくいくと、以下のようにHyper-V上の仮想サーバの状態が[保護済み]となります。
以上で構築は完了です。
検証
オンプレミスHyper-V上で稼働しているWebサーバをAzureへバックアップ(保護) したサーバへ切り替えてみます。
1.復旧サービスの[保護された項目]-[保護グループ]から作成した保護グループを選び、フェールオーバ対象の仮想マシンの[→]を選択します。
2.Azureへ切り替えた後のサーバスペックや所属するネットワークを設定します。
3.仮想マシンの画面から、[フェールオーバー]-[計画されたフェールオーバー]を選択します。
ちなみに、違いは以下のようです。
・計画されたフェールオーバー : 事前にデータの同期を行ってからフェールオーバー
・計画されていないフェールオーバー : データの同期を行わずフェールオーバー(オンプレ障害時などを想定)
4.フェールオーバーの状況は復旧サービスの[ジョブ]-[ジョブ]から確認できます。
文字化けしている箇所がありますが、問題はありません。
5.約10分でフェールオーバー完了しました。 フェールオーバ―したサーバのダッシュボードは、以下の「ソースとターゲット画面のプロパティ」からアクセスできます。
6.ダッシュボードを見る限り、正常に起動しているようなので、Azureで付与されたグローバルIPをhostsファイルに書き込み、サーバのWebサイトへアクセスしてみます。
、、、アクセスできません。
調べるとエンドポイントが何も設定されていません。(まぁ当たり前ですが、、)
7.エンドポイントにhttpを設定しリトライ。
見事、Azureにバックアップしたサーバで、Webサイトが表示されました。
まとめ
ASRですが、Hyper-V上の仮想サーバを簡単にクラウドへバックアップし、同期(30秒/5分/15分間隔)までしてくれるため障害復旧および事業継続が目的であれば、かなり有効な方法だと思います。
ただ、フェールオーバーには今回のテストで10分程度時間がかかったため、24時間365日連続稼働を目的としたシステムの待機サーバとしての使い方には向いていないと思います。(元々バックアップの延長の機能であるため、そのような使い方は想定されていないと思いますが)
特別なソフトも必要なく、設定も簡単であるため、今後はいろいろな使い方が発見されそうです。
今のところ、本来の使い方であるDR/BCP対策か、オンプレHyper-Vサーバの定期保守の際に、仮想サーバをAzureで稼働させるような使い方ぐらいしか浮かびませんが、いろいろ弄ってみたいと思います。
あと、月額5500円程度かかるため、検証が終わったらすぐ消すことをお勧めします。